株式会社MIGRANT
(マイグラント)

一級建築士事務所/
民泊/シェアハウス/CAFE&ワークスペース
寺田 和彦
1984 奈良県生まれ
2007 京都大学工学部建築学科卒業
2009 京都大学大学院建築学専攻修士課程修了
2009-18 手塚建築研究所
2018- MIGRANT共同主宰
2020- 株式会社MIGRANT 代表取締役
小穴 真弓
1982 東京都生まれ
2006 早稲田大学理工学部建築学科卒業
2008 早稲田大学大学院建築学専攻修士課程修了
2008-09 日建設計
2011-18 手塚建築研究所
2018- MIGRANT共同主宰
2020- 株式会社MIGRANT 代表取締役
まずは、自分が豊かに暮らすこと。安曇野で設計事務所を始めました。
東京生まれ東京育ちの島田。東京の手塚建築研究所で働き、そろそろ独立して自分の設計事務所を構えようかと考えていた頃、東京で仕事を始めることに、漠然とした抵抗がありました。住宅や保育園、カフェや公共空間や教会、今までやってきた設計の仕事のすべては、自分のつくった空間によって人を豊かにしたいという気持ちを形にしたものでした。でもそれならば、まずは自分自身を豊かな環境に身を置くことにエネルギーをかけてみるべきなのではないか?全力で豊かに生きられたら、今までよりもっとずっと、良いものをつくれるようになる気がする。

そのころ、休日はいつも山に登りに出かけていました。母方の田舎である安曇野には、祖母から相続した立派な古民家がありました。毎週のように安曇野を拠点に北アルプスを歩き、安曇野で時間を過ごしているうち、なんでここで暮らさないんだろう?と思うようになりました。ここには大好きな自然も、美味しい野菜も、澄んだ空気も、美しい風景も、すぐに山や川に遊びに行ける環境も、自分の考える豊かさそのものが、すでにあったことに気が付いたのです。

東京を離れて仕事をするなんて、それまでは想像したことがなかったけれど、よく考えれば設計の仕事はどこでもできるし、東京で10年がむしゃらに働いてきた私たちには、自分たちの能力があればどんな場所でもやっていけるだろうという、手に職を付けた自信がありました。どうなるかわからないけれど、とりあえずやってみよう。そんな流れで2018年7月、安曇野に移住。古民家の2階を事務所にして設計事務所を始めました。

受け継いだ美しい古民家を守り、空間と料理の力で人の集まる場所をつくる
安曇野の古民家。2階をMIGRANTの事務所として使い始めたその家は、松本・安曇野を中心に活動している古民家建築の巨匠・降幡廣信氏による設計の現代古民家で、幼少期に島田が祖母から受け継いだ家でした。少し離れたところに建っていた広い広い旧家の柱梁を使って今の敷地に新しい家が建ったのは、30年ほど前。その頃には一族みんな東京近郊で暮らしていたため、この家は先祖代々の記憶を残しながらも最初から別荘のように使われ、夏休みになると一族の子供たちが集まる夏の家となっていました。 この家をとても大切にしていた島田の母は、早くに亡くなるまでずっと、「この家を守ってね」と口癖のように言っていました。独立するにあたってこの家を拠点にしようと考えたのは、ここがとても良い場所・良い空間であることと同時に、自分たちが使いながらこの家を守っていきたいという気持ちもありました。

安曇野に移住して1年半。びっくりするくらいたくさんの人が遊びに来てくれるようになりました。母の姉妹である4人の叔母や従弟家族、東京の友人たち。安曇野・松本・白馬界隈でも少しずつ知り合いができて、知り合った人をまずはこの家に招いてパーティーやごはん会をしているうちに、いつのまにか人が人を呼び、どんどん友人と呼べる人が増えてきました。この家があるから人が集まる。そして、来てくれた人たちに料理を振る舞い一緒に楽しい時間を過ごすことで、気持ちが通じ合い、お互いに良く知り合うことができる。安曇野近辺には本当にたくさんの素敵な人が暮らしています。素敵な人との出会いは私たちの設計の仕事やすべてのことに果てしない広がりを与えてくれると思っています。これからもこの家を拠点に、たくさんの人と縁を繋げていきたいです。

田舎暮らしの豊かさを味わう
MIGRANTの民泊
安曇野に移住して半年経った2019年。MIGRANTは民泊を始めました。

来た人みんなが喜んでくれるような素晴らしい家で暮らしていて、2階を仕事場にしていたものの、なんだかもったいないなあとずっと思っていました。MIGRANTは2人とも、料理をふるまったり人をおもてなしして喜んでもらうということがものすごく好きなのもあって、知らない人が家に泊まりにくる、民泊という新しい試みをしてみることにしました。最近は自分たちの暮らしがとても豊かであるという自信もついて、それをたくさんの人に知ってもらいたい、発信していきたいという気持ちもありました。
思いつきで始めたわりに、想像以上に素敵なことだらけでした。友人や親戚が気軽に遊びに来てくれるようになったこと、普通に設計者として生きていたらあまり出会えないような、違う世界で生きている人たちと出会えること、人が来ると家を綺麗にするので家を守ることにもつながるし、なにより料理の腕が上がりました。1日1組限定にして、朝ごはんと夜ご飯は私たちと一緒に食卓を囲む形式であればサービスで出す、というスタイルを続けています。そうすると、つくった料理ひとつひとつに喜びの声がもらえるのです!喜んでくれる顔が見れるとやる気が出て、どんどん新しい料理に挑戦して、結果自分たちも美味しいものが食べられるという、良いことばかりなのです。    

単に寝泊まりするだけの場所としてではなく、大切なこの家と安曇野の素晴らしさ、私たちとのコミュニケーションを楽しんでくれることを願っています。
民泊のご予約はAirbnbのサイト をご覧いただくか、m@migrant-a.comまでご連絡ください。


料理とコーヒーでみんなを笑顔にする
CAFE MIGRANT
2019年の12月に、MIGRANTで設計して仲間たちとハーフビルドでつくりあげたMOUNTAIN HUTが完成しました。カフェをやってみたいと夢見ていた私たちは、イベントとあわせて不定期でカレーやコーヒーを提供するカフェ営業を始めました。手塚事務所時代に新潟の三条スパイス研究所の建物を島田が担当して以来、スパイス料理の魅力にどはまりした私たちは、寺田がカレー、島田が野菜のサブジを担当し、彩り鮮やかなカレーのランチプレートなどを提供しています。普段はMOUNTAIN HUTのオーナーの羽山さんが、こちらも不定期でカフェをされています。

手回しのコービー焙煎機を手塚事務所の卒業祝いでプレゼントされてから、コーヒーの焙煎が趣味になった寺田は、日々コツコツと腕を磨き、いつしかとても美味しいコーヒーが淹れられるようになりました。市販の豆は深入りや中煎りのコーヒーが多いのですが、自家焙煎であれば浅煎りが好きな自分たちの好みを追及できるのです。

MOUNTAIN HUTのオープンとあわせて、コーヒー豆の販売を始めました。最初は羽山さんのMOUNTAIN HUTのカフェに納品したり、友人に納品したり、ささやかにやっていましたが、先日はギャラリーのイベントに呼んでいただき、2日間コーヒー豆屋さんとして出店しました。さまざまな種類の豆を試飲してもらいながら、気に入ったものを買ってもらう、来てくれた人とおしゃべりをして、また新たな縁がつながる、とても良い機会でした。今後はキッチンカーをつくっていろんな場所でカフェをやってみたいと構想中です。

MOUNTAIN HUTのカフェ情報は
MOUNTAIN HUTのFacebookページをご覧ください。
自家焙煎コーヒーMIGRANTのご注文は、m@migrant-a.comまでご連絡ください。



パソコンひとつ持って安曇野暮らし
MIGRANTのシェアハウス
「旅鳥」豊科の家
2020年の春、急速にリモートワークが定着し、パソコンとWi-Fiさえあればどこにいても働ける時代がやってきました。そんな流れを受けて、2020年6月、MIGRANTの隣の家を借りて、シェアハウスとして運営してみることにしました。

安曇野での暮らしの豊かさ、快適さ、意外と便利なところ、ストレスフリーな毎日、水が美味しい、野菜が美味しい、空気が美味しい、人が優しい、朝の景色が圧倒的に美しいこと、毎日北アルプスを眺める幸せ。語りつくせないほどのこの素晴らしさを伝えるには、数日間の宿泊では足りず、しっかりと拠点を持って暮らしてみてほしいと思いました。MIGRANTが安曇野に移住してきたときは、立派な家があり、車もあり、人との縁は最初はなかったけれど、とても恵まれた環境で移住生活をスタートすることができました。シェアハウスを始めたのは、この恵まれた環境への恩返しのような気持ちです。

せっかくどこにいても仕事ができる時代になったのだから、ふと思い立ったときにすぐ来るくらいの気軽さで安曇野暮らしが始められる場所を整えたいと思いました。家賃をできるだけ安くして、短期滞在にも対応し、車や自転車もシェア貸しできるようにしました。MIGRANTには日常的にたくさんの人がご飯を食べに来たり遊びに来たりするので、私たちが最初は持っていなかった人との縁もすぐにつくれる環境です。勢いで始めたシェアハウスでしたが、民泊と同じく、まったく想像していなかった素敵なことばかりです。すぐ隣にさまざまなエリアから来た女性たちが暮らし、朝コーヒーを飲みに来たり昼ご飯を食べに来たり。常に近くにいてくれる楽しさと安心感、困ったときは助けてくれて、まるで家族が増えたような、新しい家族のかたちをつくることができた気がします。

シェアハウス「旅鳥」豊科の家の詳細は、
NOTEの記事をご覧ください。
旅鳥の住民たちによるinstagramアカウントも是非ご覧ください。


自然の力で野菜を育てる喜び
MIGRANT自然農園
民泊、シェアハウスと、毎年春頃に新しいことに挑戦してきた私たち、2021年はついに、畑をやってみることにしました。それも普通の畑ではなく、農薬も使わず肥料も使わずビニールマルチも使わず、草を生やし、自然の状態で野菜を育てていく自然農に取り組んでいます。

畑を始めたきっかけは、鶏たちが小松菜や野沢菜などの葉物が大好きで、もっと好きなだけ食べさせてあげたいと思ったから。自分で育てれば、たくさんの葉物を収穫して食べさせてあげることができる。そして、今では頼もしいシェアハウスの住民たちがいて、きっと畑仕事も楽しんで参加してくれるに違いない。みんなでやったら楽しそう!

近所のおじさんに相談したら、使っていない畑がたくさんあり、いくらでも使って、と言ってくれました。貸していただいた土地は、想像の何倍も大きく、最初は大丈夫か不安だったものの、やるならば徹底的にやろうということで、前々から気になっていた自然農を勉強してみることにしました。自然農についてちょっと調べると、なんとみんなが知ってる自然農の本を書いている著者の方が、安曇野で自然農スクールを開催していることを発見!その日に早速申し込んで、毎月1回スクールに通って勉強しながら、そこで得た知識と本を何度も読んで得た知識とで、なんとか畑いっぱいにたくさんの種や苗を植え、梅雨に入った現在、春に植えた野菜たちが続々と収穫できています。日々、そこに生えてきた草を刈って愛情込めて野菜のまわりに草マルチとして敷き並べ、間引きをかねて収穫し、それが私たちと鶏たちのごはんになっています。

MIGRANT自然農園の様子は、
MIGRANTのinstagramアカウントのストーリーズで配信しています。


鶏がいて、みんながいて、
「美味しくて楽しいこと」を求め続ける
MIGRANTの毎日
2021年6月現在のMIGRANTの日常生活は、朝の畑仕事から始まり、シェアハウスの住民たちとともにコーヒーを飲み、仕事をして、お昼ごはんもみんなでゆっくり食べて、また仕事をして、18時には仕事終了。合間には常に鶏たちとふれあい、畑の野菜をあげたり、一緒に庭仕事をしたり。昼休みは2時間で、お客さんが来てとても豪華なランチをつくることもあれば、ささっとつくって食べて庭仕事や勉強に勤しむこともあります。

安曇野に移住してきた3年前はまだ、常に寺田と2人だけで仕事をしていたし、ごはんも自分たちだけ、東京にいたころの癖が治らなくて、ずるずると遅くまで仕事をしていました。あるとき18時以降は絶対に働かないと決意。今ではそれがあたりまえになっています。そうなると、民泊の夜ご飯をつくるのも仕事に全く支障がなくなり、来客もお昼の2時間の間にごはんがてら来てもらうようにして、とても効率よくたくさんのことを同時にできるようになりました。そして、シェアハウスの住民や近所の友人など、常にたくさんの人が家に出入りしていて、MIGRANTの仕事もアルバイトで手伝ってくれて、鶏の世話も手伝ってくれて、支えてくれる家族が増えたような、安心感と幸福感に包まれています。

休日は相変わらず島田は山や川に遊びにでかけたり寺田はアーチェリーにでかけたりしながら、庭に大きいロケットストーブのピザ窯をこつこつみんなでつくったり、畑の隣に芝生広場をつくるための種まきや除草作業などをしています。ピザ窯ができたらピザパーティーがしたいし、芝生広場ができたら朝ヨガとか音楽会とかもしたいし、キッチンカーをつくって畑カフェとかできたら最高!そんな、「楽しくて美味しい」妄想を日々、少しずつ形にしていっています。